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南部弁講座

その10

はじめに。
このコーナーでは、基本的に「」で囲んだものを原語<>で囲んだものを
翻訳語として扱っており、赤字は難しい言葉、(全部難しいのですが)
青字は特に難しい言葉を表しています。


その10で紹介している南部弁
ここまる どやす  まよねぇず   つれかれ  だおだお
 どんだりこんだり   なんだりかんだり  ばがばが こちゃびしね とれる


100 とれる

   <取れる>ではありません、南部弁で<取れる>は「もげる」(86参照)です。

   それでは、この「とれる」は何かというと、

   酔いつぶれてしまうことを言います。

   例 ある酒宴で

      A 「アリャッ?おんずぁどごさいったど

       <アレッ!弟はどこに行ったの?>

      B 「とれでまってぇ隣で寝でらぁ、んがぁ、さっきたも同じごどきいだっきゃな、よっきてらなぁ

       <酔いつぶれて隣の部屋で寝てるよ、お前さっきも同じ事聞いたよな、酔ってるな>

   と言うことで、酒を飲んで酔ってしまうことを「よっきる」と言い、酔いつぶれる(酩酊状態)事を

   「とれる」と使います。

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99 こちゃびしね

   「さびしね」の変形だのせ<変形なんです>、意味はいっぺあんのせ<沢山あるんです>。

   「さびしねどごさ来てしまったじゃ」<とんでもないところに来てしまいました>

   「ふとぁ、もれもれって、さびしねのよ」<人出が多くて凄いんだ>ズ感じだのせ

   これが「こちゃびしね」になれば、もっとすごい事になってまるのよ<なってしまうんです>。

   例えば「えの裏のどんころ石ばよげだっきゃ、たまぐら、もれもれって、こちゃびしねぇのよ

   ワもなもじゃわめいでまったじゃズ感じでつかるのよ<という感じで使うんです>。

   意味は<我が家の裏にある大きな石を取り除いたら大きなミミズがウジャウジャいて

   もの凄いの!私は背筋に悪寒が走りました>ズ感じだべが。

   どんころ石 = 大きな石

   たまぐら  = 大きなミミズ

   じゃわめぐ = 背筋に悪寒が走る(ゾッとすること)
             ザワザワと、うるさいときにも使用し、学校などで授業中に、
             妙に騒がしいときに先生が
             「しぱらしねぇ、じゃわめぐな」<五月蠅い、静かに>
             最近使う人はいません。
             雑木林が風でザワザワと音を立てるときにも
             「やまぁ、じゃわめいでら」(不吉の前兆)等と使います。

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98 ばがばが                  2004/4/9

   擬態語とでも言いましょうか、ひどく匂いのする状態を表す言葉なのです。

   しかし、この言葉自体は意味を持たず、単語としては成り立ちません。

   この「ばがばが」は、匂いに対してかかる言葉であり、匂いの度合いを表現する単語なのです。

   例  「かまりっこぁばがばがする」<凄く匂う>

   と言うような使い方をしますが、この「ばがばが」レベルによって発音のしかたが違うのです。

   「ばがばが」=レベル1 「たまげだかまるどもがまんでぎる」<凄い匂いなのだけれども我慢できる>

   「ばんがばが」=レベル2:あまりにも臭くて直接本人に「んがぁやだらくせいいぇ」と、苦情を申し述べる。

   「んがばんが」=レベル3:臭すぎて、呼吸を止めてその場から退去する。

   使用法

   レベル1 やいや、かっちゃんどぁ白粉かまり、ばがばがさせでただでねんだじゃ

   訳 イヤー、おばさん達、すんげー化粧品の匂いをさせて、たまったものじゃない

   レベル2 ジャッ!んがぁよッ!なんだっきゃこの部屋。あめかまり、がばがするえ!

   訳 ウワッ!おまえなー、なんだこの部屋は。凄く腐った匂いがするぞ。

   レベル3 ウッ!ばばかまり、んがばがってながさへれねじゃ。

   訳 ウッ!ウンコの匂いが強烈すぎて中に入れないよ。

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97 「だりかだり」<いい加減(無責任)>      2004/3/26

   「だりこだり」と似たような使い方をしますが、

   標準語に翻訳するにはちょっと難しいところがあります。

   それは、「だりこだり」は動詞だけなのに対し、「だりかだり」は

   代名詞だったり、形容詞だったり、動詞だったりするからです。

   例えば、「だりかだり、へんな」は<無責任な発言はするな>と言う意味になり、

   「だりかだり、かへるな、アトピーだすけぇ」<アトピーなので、むやみに食べさせないで下さい>

   「一人さ、なだりかだり、仕事ぉあんずげんなじゃ」<一人にあれもこれもと仕事を預けるんじゃない>

   と言うことで、「だりこだり」よりは、使い道が広いのですが、これは、セットで覚えていた方が

   良いでしょう。

   因みに、これも、「だりこだり」と一緒で、省略型の「だり」があります。

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96 「だりこだり」<いい加減>

   今でも生存しており、当たり前に使用されている言葉の一つです。

   「がぁどんだりこんだりだやづだなぁ」<おまえ、いい加減なやつだな>とか

   「どんだりこんだりちょせばかすぇ」<いい加減に操作するとこわすぞ>等と使用し、

   この「どんだりこんだり」を省略すると「どんだり」になり、<いいかげん>よりランクの落ちる

   <テキトー>(ちょうど良いと言う意味ではない)というような意味になり、

   「どんだりしまればあげれぐなるど」<テキトーに仕舞えば蓋が開かなくなるぞ>とか

   「どんだりやんな!」<テキトーな仕事をするな!>等と使います。

   次は「なんだりかんだり」です。

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95 翻訳不能語「だおだお」                   2004/3/22

   前回に続いて、翻訳不能語を解説したいと思います。

   「ジャッ、だおだおどつぐなじゃ、ビールぁ、泡ばりさなってまったべに

   <オイッ、荒っぽく注ぐんじゃない、ビールが泡だけになってしまっただろうが>

   「だおだお」を<荒っぽく>と表現していますが、

   「だおだおどやってまれ」とも使い、<さっさと片づけてしまえ>と言う意味になります。

   <情け容赦なく>と言うような意味合いが強いような気がしますが、

   「おめなぐ」と言う言葉があり、これも<荒っぽく>や<力任せに>という意味があります。

   他には「びりめがす」というのがあり、これが本当の意味の<情け容赦なく>です。

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94 翻訳不能語 「つれかれ」                     2004/3/10

   「ヤッ!さっきたまであったらにいっぺぇいだのさ、つれかれっていねぐなってぇ

   きぃついだら、みったりっこがよぉ


   <さっきまであんなに沢山いたのに、少しずついなくなって、気が付いたら

   たった3人かよ>

   実際は違うのですが、今回は少しずつと翻訳しました。

   しかし「つれかれと飲まさってしまう」この場合は、

   <一杯だけのつもりが、あまりにも美味しいので、もう一杯、

   もう少し、これで最後、と言いつつ最後まで飲んでしまう>

   「つれかれどしか客あこねぇ」の場合は、

   <来客が無いわけではないがポツリ、ポツリとしか来ない>

   と言う感じです。

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93 「まよねぇず」                 2004/2/21

   主任「おぅノブ、いっとごま南郷のやぐばさいってこぉじゃ、機械の調子わりってへってらすけ

   <おいノブ、ちょっと南郷村の役場に行って来い、機械の調子が悪いそうだ>

   ノブ「ワァ南郷のやぐばさ行ったごどねぇすけ、まよるじゃ

   <南郷村の役場に行ったことがないので迷ってしまいます>

   私「かぁ、これたなってげばぁ、だいじょうぶだぁ」<ほら、これを持って行けば大丈夫だ>

   ノブ「なしてマヨネーズだのよ?」<何でマヨネーズなんですか?>

   主任「だすけぇ、まよねぇずぅ」<だから、迷わないそうだ>

   迷うことを「まよる」と言い、

   「どんだのよ」<どっちなんだ?>「まよるどごよ」<迷っている最中なんです>

   などと使い、場合によって「まよる」は<思案する>という意味にもなります。

   この反対語として「まよねぇ」<迷わない>があり、これに「ずぅ」を付けると

   <迷わないそうだ>になり、知らない土地に行くときには " マヨネーズ " を持っていくと

   道に迷わないそうだ「まよねぇずぅ

   南部弁のオヤジギャグでした。

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92 「どやす」<どうする>               2004/2/13

   標準語にある "どやす" とは全然違います、国語辞典に掲載されているので

   確認するとよいでしょう。

   活用法としては「どやして」<どうして>「どやした」<どうした>

   「どやせば」<どうすれば>等があり、実際は「どやしてよ」<どうしてさ>

   「どやしたど雑記帳そらで参照<どうしたんだい>「どやへば」<どうすれば>というように使用し、

   場合によって語尾に " ー " や " ッ " が付いたりします、特に " ー " が付いた場合は

   語尾が上がる場合と下がる場合があるので注意すること。

   「これどやしてくの?」<これはどうやってたべるんですか?>

   「すぎだおにしてかなが」<お好きなようにして召し上がれ>

   昔、九州で「どやして、どやして」と言って殴られた人がいたそうです。

   標準語では<殴って、殴って>ですもんね。

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91ここまる」                   2004/2/2

   実は私、スキーの先生なんです。

   職場の人たちにもスキーを教えているのですが、その中の一コマ。

   講習会を始める前の準備運動の時。

   私「それではストレッチを行います、右スキーを立てて「ここまるー」<前屈みになる>」

   生徒A「「こぉこまるぅどごのこどばでぇ」<「ここまる」ってどこの言葉なんだ>

   私「すいません、訛ってました」

   生徒B「したども、みんなしてここまってれぇ」<だけどみんな前屈みになってるよ>

   私「みなさん、南部人ですねー安心しました」

   「ここまる」=しゃがむ、お辞儀する、前屈みになる、姿勢を低くする、頭を下げる

   と言うように、沢山の意味があるわけですが、形容詞なので文章の前が理解できれば

   同じ「ここまる」でもどういう状態なのかは理解できると思います。

   例 「腹つっかえでここまれねぇのよ」<お腹がじゃまで前屈みになれないんだよ>

     「目上のふとどすれちがうとぎぁちゃんとここまるんでぇ

    <目上の人とすれ違うときはちゃんと会釈をするんだよ>

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