
南部弁講座
はじめに。
このコーナーでは、基本的に「」で囲んだものを原語<>で囲んだものを
翻訳語として扱っており、赤字は難しい言葉、(全部難しいのですが)
青字は特に難しい言葉を表しています。
| その13で紹介している南部弁 | ||||
| にどいも | へば | いふりこぎ | ほどんと | うめる |
| はんつけ | しみでぇ | だば | びくたがる | ビヨッと ベロッと |
| 130 形容詞 | |
| 129で使用した「ビヨッと」「ベロッと」を解説します。 「ビヨッと」<いきなり飛び出てくる様子> 「でぇもいねぇどおもってピンポン鳴らしたっきゃぁ、犬ぁ小屋がらビヨッと出で来てぇ、くっつがれるどごだったじゃ」 <誰もいないと思って呼び鈴を押したら、犬小屋から犬が飛び出してきて、噛みつかれるところだったよ> 特に無防備な状態の時、苦手なもの(特に動物など)が「ビヨッと」出てくると「びくたがる」訳です。 「ベロッと」単純に訳すと<ガバッと>という意味なのですが、他にも活用法があり、 「○○のうわさ話をしていたら○○がべろっと入ってきた」というような使い方があり、 この場合は<突然>という意味になります。 この「ベロッと」<いきなり>だったり<突然>だったりするわけですが、話の内容によって「ペロッと」<ひょっこり>や 「ベロリ」<”突然”又は”ガバッと”の最大形>になり、 「あぐどの皮ぁベロリどむげだジャ」<踵の皮がガバッとむけてしまいました>というように使用します。 |
| 129 びくたがる | |
| <びっくりする>という意味です。 「そったらくらすみがらビヨッとでできたらびくたがるべな」 <そんな暗がりからいきなり飛び出せばビックリするだろうが> 「イヤーびくたがったじゃぁぁ車さ乗ってカーブ曲がったきゃぁ ドアぁベロットあぐのよ!おぢるがど思ったじゃ」 <イヤービックリしたよ、車に乗ってカーブを曲がったら ドアがガバッと開いたのさ、車から落ちるかと思ったよ> こんな感じで使います。 この中で出てきた「ビヨット」「ベロット」は後ほど解説します。 |
| 128 だば | |
| <それでは>という意味です。 「へば」と同じような使い方をしますが それ以外に「それだばわがねぇじゃ」 <それだとだめだよ> 「んがだばける」<君だと食べる事ができる> というように、○○だと××という使い方をします。 |
| 127 しみでぇ | |
| <冷たい>という意味で、 「はぢのへの冬ぁ、かぜぇしみでぇもなさ」 <八戸の冬はは風がつめたいもんねぇ> というように使いますが、他にも「しゃっこい」 というのがあります。 この「しゃっこい」は単に<冷たい>を意味するような 使い方をするようで、「このビールしゃっけぐねぇじゃ」 <このビール冷えてないよ>あるいは 「しゃっけぇすけ水かげなじゃ」<冷たいから水をかけないで> というような使い方をしますが、「しみでぇ」「しみだい」は 指先や耳がかじかんで痛くなるような場合に使用します。 他に「しみる」<凍る>という言葉があり、 「やだらしばれでそどさだしてらったぁビールっこぁしみでまったじゃ」 <あまりにも冷え込んで外においておいたビールが凍ってしまった> などと使い、高野豆腐のことを、南部弁では「しみ豆腐」といいます。 凍るような冷たさを「しみだい」「しみでぇ」といいます。 |
| 126 はんつけ | |
| 南部弁講座No15で少しだけ紹介してありますが、「のけ者」の ことです。 ある飲み会で、 私「アリャ?ノブぁどやしたのよ?」 <あれぇ?ノブはどうしたんだい?> 友人「アリャァ飲めばごんぼほるすけぇ、今日ぁはんつけだ」 <あいつは飲むと絡んでくるから、今日はパスッ> 先輩「んだぁ、最近やだらほるもぇ。おなごさもほるもな」 <そうだよな、最近ずいぶん絡むよな、女性にも絡むし> 子供が「ごんぼほる」ときは<だだをこねる> 大人が「飲んでごんぼほる」ときは<酒に酔って絡んでくる> 素面で「ごんぼほる」ときは<だだをこねる> 学校で 先生「あだらしい転校生ばしょうかいするけぇ、 名前は○○○○だ。んがんどぁ○○ば、はんつけにしねんで やんべこにすんだどぉ」 <新しい転校生を紹介する。名前は○○○○だ。君たちは○○を のけ者にしないで、仲良くするんだぞ> (’新しい転校生’と言うことは’古い転校生’も存在する?。 私たちが子供の頃はこんなもんだったんです) 本来は<村八分>という大変怖い言葉だったんです。 |
| 125 うめる | |
| 熱いお湯に水を足して温度を下げること、 又は塩辛い味噌汁にお湯を足して味を薄めること。 昔昔、私がまだ独身寮で暮らしていた頃の話です。 *1 その日は、「いづになぐ、はえぇ、になじまいだったすけぇ」 夕食の前に風呂に入ることにしました。 先輩や同僚と風呂場に行くと、誰もいません。 *2 先輩や同僚は「やったぁ!いぢばんぶろだじゃ」などと *3 はしゃいでいる私に目もくれず「ワラワラどふぐばぬいで」 浴室に入っていきました。 *4 私は「あどまってまったじゃ!」と独り言を言いながら 最後尾で浴室に入ると、かぶり湯をしようとしている先輩の 右手に持った風呂桶が浴槽から出てくるところでした、 そのお湯を先輩は躊躇せず頭からザブリとかぶり *5 *6 「あっっっつっ!」それを見た私「どやしたど」 *7 先輩「やだら、あっつじゃ!」同僚が浴槽に手を入れ *8 温度を確認し、「ほんによ、にだってらじゃ」 *9 先輩「うめろ、うめろ、ワ水ば出すすけ、んがどぁかませ」などと 騒いでいるうちに他の人たちも入ってきて *10 「なんでぇんがんどぁ、今日は三助がぁ?」などと からかわれてしまい *11 「たまげだ一番風呂」になってしまいました。 *1<いつもと違って早く仕事が終わったので> *2<やったー、一番風呂だー> *3<一目散に服を脱いで> *4<遅れてしまったよ> *5<熱い>(熱ければ熱いほど「っ」が多くなります) *6<どうしたんですか?> *7<あまりにも熱すぎる> *8<本当だ、沸騰してるよ>(正規に表現するとこのように なりますが、沸騰しているお湯をかぶると火傷をするので この場合は<入浴するにはあまりにも熱すぎる>と 翻訳されます) *9<水を足して温度を下げろ、俺が水を出すからおまえ達は かき混ぜろ> *10<お前達何やってんのぉ?今日は三助なの?> *11<とんでもない一番風呂>(通常「たまげだ」は <びっくりした>と言う意味で使用しますが、このように <とんでもない○○>というような使い方もします。 例「たまげだでっけぇ」<とんでもなく大きい> |
| 124 ほどんと | |
| 南部弁というより東北訛りとでも言いましょうか 東北では大概の人たちが使用しているようです 意味は<ほとんど> 八戸でも例外なく、使用している人たちが居ます。 ただし、「わげものぁほどんと、つかね、つかるのぁほどんと じじばばんど、としょりだんだおぇ」 訳:<若い人たちはほとんど使いません、使うのは、ほとんど お爺さんや、お婆さん達年配の人たちです> |
| 123 いふりこぎ | |
| 見栄っ張りのことです。 「うしろっぱらのダダァ、いふりこぎだすけぇ、じぇねもねぇくせして、 あだらしい車ではれば、すぐとっけるんだじゃ」 訳 裏の家のお父さんは見栄っ張りだから、お金も無いのに 新型車が発売されると、すぐに車を買い換えるんです。 |
| 122 ヘバ | |
| これも、何種類かの意味を持つ言葉です。 1、そうすれば(そうすると) 「さげば飲む、へば、よっきる」<酒を飲む、そうすると、酔う> 2、それならば 「がぁ、右さ行ぐのが、へば、わぁ、左さ行ぐ」<君は右へ行くのか、 それならば、私は左に行く> 3、それじゃぁまた会いましょう(状況により、さようなら、だったり おやすみ、または、また明日というように変化します。 「明日ぁはえぇすけぇ、さぎにかえるじゃ。へば!」<明日は仕事が 早いので先に帰るから。おやすみ> A君「へば、明日」B君「へば!」<それじゃ明日><じゃあ明日> 4、前に「ダァ」が付くと「ダアヘバ」と、なり、<とんでもない>という 意味になります。(南部弁講座88参照) |
| 121 にどいも | |
| <馬鈴薯>のことを言います。 二期作等が可能な作物(二度作れる芋)なので、このように 呼ばれるようになったのではないかと私は考えます。 「カッチャァ、はらへったじゃ、なんがねぇの?」 <お母さん、お腹がすきました、何か食べるものありませんか?> 「でんどごの鍋さにどいもへってらすけぇそれけぇ」 <台所の鍋に馬鈴薯が入っているので、それを食べなさい> 「まあだにどいもがよぉ、まっとつがるの、ねぇのがよぉ」 <また馬鈴薯?もっと違うの無いの?> 「からっぺこいでねぇでだっまてけ!」 <わがまま言っていないで黙って食べなさい> 「でんどご」=台所 「まっと」=もっと 「からっぺ」=<わがまま>或いは<好き嫌い> 「ワァ、人参すぎでねじゃ」<私、人参嫌い> <好き嫌いを言うな!> |