南部弁講座
はじめに。
このコーナーでは、基本的に「」で囲んだものを原語<>で囲んだものを
翻訳語として扱っており、赤字は難しい言葉、(全部難しいのですが)
青字は特に難しい言葉を表しています。
| その7で紹介している南部弁 | ||||
| わぁせいがびゃ | 体の名称1 | 体の名称2 | だすけよ | お金1 |
| お金2 | じょせ | まがる | しね | る、れ |
70 「る」と「れ」 2003/10/4
以前、雑記帳のNo22 "「る」に関する一孝察" で紹介した「る」
結構沢山ありましたので紹介しておきます。(以前と重複しているのもあります)
「いらる」<必要> 「ではる」<出る> 「はらる」<払う> 「ならる」<習う>
「あらる」<洗う> 「いぎある」<行き会う> 「うだる」<歌う> 「うだがる」<疑う>
「かまる」<構う> 「もらる」<貰う>
以前紹介したように、〜する、という動詞がほとんどなのですが、
これが今度は〜しなさい、という命令形になると、「る」の代わりに「れ」が付きます。
「ではれ」<出ろ> 「はられ」<払え> 「なられ」<習え> 「あられ」<洗え>
「うだれ」<歌え> 「うだがれ」<疑え> 「かまれ」<構え> 「もられ」<貰え>
「いぎあれ」<(誰々と)会え>となりますが、
「いらる」については「いられ」<必要になれ>と言う言葉は存在しません。
普通に考えてもおかしな言い回しですよね
69 「しね」<堅い> 2003/9/29
標準語では物騒な言葉ですが、南部弁では堅い物を指します。
「やっ、このにぐしねじゃ」<この肉堅いよ>というように使います。
又、この「しね」の発展型で「しなじい」というのがあり、こちらは
<しぶとい>と言う意味で、塩川前財務大臣の
"シオジイ" をまねたものではありません
例 「まぁだまいったってへねど、しなじいやづだごど」
<まだ音をあげないか、しぶとい奴だ>
68 「まがる」<こぼれる> 2003/9/27
この「まがる」の ”が ”は<がぎぐげご>の ”が ”であり
<曲がる>の ”が ”ではないのです。
この「まがる」<こぼれる>と言う意味で、
使い方は「お、お、そったにつぐなじゃまがるべな」
<おいおい、そんなに注ぐなよこぼれるだろうが>とか
「ほら、ちゃんとたながねばまがるあ」
<ほら、ちゃんと持たないとこぼれるぞ>というように使用し、
変形として、「まがす」<こぼす>や「まげる」<こぼす>がありますが、
「まげる」に違う意味もあるのです。これは<負ける>がそのまま訛ったもので、
「これ、たげえじゃ、ちょべっとまげろじゃぁ」<値段が高いよ、少しまけてよ>や
「まぁだジャイアンツまげだのがよ」<またジャイアンツ負けたのか>
というように使いますが、アクセントに違いがあり、
<こぼす>「まげる」は "ま" にアクセントがくるのに対して
<負ける>「まげる」はアクセントがありません。
67 「じょせする」<油断する>
ある宴の席で
「ありゃ?こごさあった"わしのお"あどやしたど」<あれっ?ここにあった "鷲の尾"
どこいったんだ?>
「あらぁ、あそごでころんでらあ」<ほら、あそこで空っぽになって横になってるよ>
「ジャッ、はあのんでまったど、じょせされねえな」<エッもう飲んでしまったの?油断できないな>
「みんなしてめめでらんだおえ」<みんなでねっらてるのさ>
ということで、今回は<油断>「じょせ」です。
使い方は、「ヤッ、サイッじょせしたじゃ」<アッ、しまった、油断した>や
「じょせされねぇいぇ」<油断できないぞ>又は
「じょせされねぇな」<油断できないな>場合によっては<油断も隙もない>
と言う使い方をしますが、この単語も絶滅の危機に瀕しています。
66 65の追加です。 2003/8/26
小銭について、「だまっこ」ではなく「だら」を使っていたというBBSへの
投稿がありましたので追加します。
「ジャッ、なぁのさいふぁやだらふぐらんでらんでねぇな、さっつもったなぁ」
<オッ、お前の財布、ずいぶん膨らんでいるじゃないか、大金を持っているな>
「なんもよ、だらっこばりよ、みでねが、100円ど10円しかへってねぇや」
<違うよ、小銭ばかりさ、見てごらん。100円と10円しか入っていないから>
と言うわけで、 " 小銭 " は「だまっこ」だったり「だらっこ」だったり「だらせん」や
「だら」等と表現しますが意味は同じなので南部語圏ではどこでも通用します。
65 "お金" について
南部弁では金銭に関する言葉がいくつかあるので紹介します。
「じぇんこ」「じぇね」これはお金一般を表します。
「さっつ」<紙幣>或いは<大金>を指します。
「だまっこ」<小銭>を表し、これを、それぞれTPOに合わせて使い分けています。
例1 「とっちゃぁ、くるまこかるすけじぇねかへでぃや、50万でいいすけよ、たのむじゃ」
<お父さん車を買うからお金を貸してください。50万でいいから、おねがい!>
「たばごっこかうぶっつのだまっこだらあるども、んがあよんたなげわらすさかすさっつぁねぇ。」
<煙草を買うくらいの小銭ならあるけど、お前のような放蕩息子に貸すような大金はない。>
例2 「最近2千円さっつみねえな」<最近2千円札みないね>
「なんさもなんねえおん」<持ってても全然使えないんだもの>
64 「〜だすけよ」 2003/8/23
<だからさ>とか<そうなんだよ>という意味で、
今まで使用してきた「〜だへんで」と同じような使い方をします。
実際、言葉は違っても意味は同じなので難しくはないと思いますが、同じ南部なのに、
それぞれの言葉を使用している地域の分布が曖昧なのです。
「〜だへんで」は、特に八戸の”湊(みなと)” 地区と ”五戸(ごのへ)”
方面や
”階上(はしかみ)”方面の人が多いような気がします。
「〜だすけよ」は上記以外の地区で使用されているのですが、南部地方であればどっちでも通じます。
そして「〜だすけよ」あるいは「〜だへんでよ」はアクセント等により言葉の持つ意味が違ってくるのです。
<だからサー>というような使い方や、もう一つは最後の
”よ” を除いて<〜するから>、
例えば「いぐすけ」「いぐへんで」<行くから>
「やるすけ」「やるへんで」<やるから>というような使い方の他に
他に相手の話を肯定したり、或いは相づちを打つ「だすけよ!」「んだへんでよ!」
<そうだそうだ>や<そうなんだよ>と言う意味になります。
63 体の名称その2 2003/8/18
今回は首から下を解説していきます。
首=くぴた 「んがあやばつねえな!くぴたさこびたがってらじゃ」
<お前不潔だぞ!首に垢がたまっているじゃないか>
腕=けな 腕のことを "かいな" とも言い、これがそのまま訛ったものです。
親指=おどゆび 父親のことを「おど」と言い、親指のことを幼児語で "お父さん指"
と言いますね
しかし、人差し指(お母さん指)を 「かっちゃゆび」 等とは言いません。
背中=へなが "アップダウンクイズ" で紹介しました。
へそ=へちょこ "アップダウンクイズ "の正解がこれです。
太股=よろた(よった) "ももた" とも言います。
膝=へんじゃかんぶ "アップダウンクイズ "の二度目の誤答がこれです。
脛=すねから 膝から下〜足首付近までを指します。
「じゃいや!いまのめらはんどあこのさむっつらすねからだしてあるいでらじゃ」
<アチャー(正しい表現ではありませんが一番近いのがこれかなと思います)最近の若い娘達は
この寒空、丈の短いスカートをはいて歩いているよ>
踵=あぐど これに似た言葉で「やぐど」というのがあり、こちらは体の部位とは関係なく、
<冗談>とか<わざと>と言う意味になります。
扁平足=もぢあし これは、"餅のような足(もぢみんたあし)"と言う意味で、土踏まずが無く、
足跡が、つきたての餅のようにベタ〜となっているのでこのように言われています。
決して "足が餅肌" という意味ではありません
62 身体の名称 2003/8/14
今回は体の名称を解説します。上から順番に解説していきますが、
部位によっては解説できないものもありますのであしからず。(単語辞典には記載しておきます)
頭髪=じゃんぼ 「じゃんぼかってくるじゃ」<髪切ってくるよ(床屋に行って来ます)>
額=なずぎ 「アダッ、なずぎぶつけだじゃ」<イタイッ!額をぶつけてしまった>
後頭部=うしろこんど 「うしろこんどわっつりふったがれだ」<後頭部をおもいっきり殴られた>
眉毛=このげ 「んがぁこのげねな」<君の眉毛ずいぶん薄いな>
もみあげ=びんこ 「がぁのびんこよ!尾崎清彦だど?」<お前のももみあげさ、尾崎清彦のまね?>
顎=あぎた 畑山のタイトルマッチを見て「はだげやまぁあぎたねられ、あぎたぁ」<畑山、顎を狙え顎を>
喉仏=おどげ 「なも、おどげおがってきてぇ、だんだんにおどなだんだおえ」
<お前も、喉仏が大きくなってきて、そろそろ大人の仲間入りだな>
ということで、今回はここまで、次は首から下を解説します。
61 「わあせいがびゃ んがあよお」 2003/7/7
他人を思いやる気持ちから出る言葉です。
意味はそのときの状況によって若干違うのですが、正確に訳すと
<私は構いませんが貴方はどうなのですか?>と、なるのですが、
場合によっては<私は大丈夫ですが貴方は大丈夫ですか?>や
<心配いりません、それより貴方はどうするのですか?>というような場合にも
「わあせいがびゃ んがあよお」と、使います。
東北のスキー場などで他人と接触して転倒したときに<すみません、大丈夫ですか?>と
声をかけてみてください、「わあせいがびゃ んがあよお」
(この場合は<私は大丈夫ですが貴方は怪我をしませんでしたか?>という意味になります)
という返事が返ってきたら、その人は生粋の南部人です。
ただし、若い人でこれを使う人はほとんどいません。