南部弁講座
はじめに。
このコーナーでは、基本的に「」で囲んだものを原語<>で囲んだものを
翻訳語として扱っており、赤字は難しい言葉、(全部難しいのですが)
青字は特に難しい言葉を表しています。
| その8で紹介している南部弁 | ||||
| やだら | ぶっとばす | などわ | てぐら | あいでくせ |
| あだりほどり | もうふとげぇり | ぶすくらぃる | ほんじなし | 馬鹿 |
80 <馬鹿> 2003/10/25
南部弁には "馬鹿" と言う意味の言葉が何種類かあります。例を挙げると、
「ばがっこ」から始まって「たぐらんけ」「たがらもの」「つぼけ」「ほんじなし」等があり、
標準語では、みんな同じ<馬鹿>と訳されてしまうのですが、どの単語もそれぞれ
意味が微妙に違うのですが、それぞれの単語に対する正確な訳語がないのが現実です。
79 「ほんじなし」 2003/10/25
No78の話の中で「ほんじおどしてあるってらんだべ」と言うフレーズがありますが、
この中の「ほんじ」<意識>とか<わけ>或いは<記憶>というような意味なのですが、
しっくりくる標準語が見あたりません。
例えば、南部弁で
「となりのじじぁ、ほんじねぐなったど」を標準語に訳すと<隣のお爺さんが痴呆症になったそうだ>と、なり、
「こごぁ禁煙だってへってらべな、なんぼへったらわがるど、ほんじなしこのぉ」
<ここは禁煙だって言ってるだろう、何回言ったらわかるんだ、馬鹿者>というように、
シチュエーションによって意味が違う言葉の一つなのです。
78 「ぶすくらぃる」 2003/10/25
きなぁ、のみあってよ、はぁ、よっきってまってぇ、なんもはぁ、らじあねぇのよ。
けさまぁ、かがさかってぇ、「まあだ、ほんじおどしてあるってらんだべ、たぐらんけぇこのぉ」って
ぶすくらいでまったじゃ。
「ぶすくらぃる」通常は「くらぃる」又は「くられる」と、使用し、意味は<叱られる>です、
これが「ぶすくらぃる」になると<思い切り叱られる>に変化します。
ですから上の文を翻訳すると、
<昨日、宴会があって、酔っぱらってしまって、何にも覚えていないんです。
今朝になって、妻に「又正体不明になるまで飲んだんでしょう?本当に馬鹿なんだから」と
思いっきり叱られてしまいました。>に、なります。
77 「もうふとげぇり」<もう一回>
物を運搬するときに使用します。
「この砂利なんぼげぇりはごべばいいのよ?」
<この砂利何回運べばいいの?>
「もうふとげぇりでしめぇだぁ」
<あと一回で終わりだよ>
「もでぇくて、ゆるぐねがったじゃぁ、どっとはらい」
<重くて大変だったー、お終い>
「どっとはらい」は「どっとはれ」と使う所もあります。
実際は物語の終わりによく使用しているようですが、
我々はトランプやゲームで先にあがった人も
"あがり" の意味を込めて使用しています。
76 「あだりほどり」<周囲>
ある日の朝、職場の若い者が腕にギブスをはめて出勤してきた。
主任「ヤッ、けなだやしたど」<(ヤッは感嘆詞です)腕どうしたんだ?>
A君「あだりほどりみであるってらっきゃ、でんきんばしらさぶつかったのす」
<脇見をして歩いていたら電柱にぶつかったんです>
主任「そらでのつぎあけながあ、けがばりして、一生休んでるど?」
<腱鞘炎の次は腕か、怪我ばかりして、一生休んでるか?>
と言うことで「あだりほどり」この会話の中では<脇見>になっていますが、
「あだりほどりみであるげ」になると<周囲に注意しながら歩け>になります。
次の「でんきんばしら」(「でんきばしら」と言う所もあるようです)は電柱のことを言います。
ちなみに<懐中電灯>は「でんち」と言い
「ねだくれすけでんちもってこ」<床下が暗いから懐中電灯を持ってきて>等と使います。
75 「あいでくせ」<弱くて相手にならないこと> 2003/10/13
BBSで投稿の依頼がありました。単語辞典にも載せていませんでしたので
本日掲載!
例 弟「あんちゃ、オセロやるびゃ」<お兄さん、オセロやろうよ>
兄「んがどがあ、あいでくせえじゃ」<お前とか?弱すぎてつまんない>
こんな感じでしょうか、最近はあまり使いませんねー
「あいでくせくてわがね」<弱すぎて話にならない>という使い方もしますが、
自分の対戦相手に対して使う言葉なので、
我々が「こどしのジャイアンツああいでくせくてわがね」と言う使い方はしません
74 「てぐら」 2003/10/13
青森テレビというテレビ局のローカル番組に "訛るが勝ち"
という番組がありまして、
毎週南部弁と津軽弁を交互に紹介しているのですが今週(10月13日)は「てぐら」でした。
さすがの私も、この「てぐら」は知りませんでした、答えは<蝶や蛾のこと>だそうです。
使用例 「まんどあ しめろあ てぐらっこあはいるあ」
<窓を閉めなさい、蛾が入ってくるから>
「まんどあ」の小さい "ん" は発音しません。
73 「などわ」これは津軽弁です 2003/10/13
<貴方と私>と、訳します
それでは南部弁ではどうなるかというと「んがどわあ」です。
この「んが」は前にも勉強しましたね
しかし、地域によっては「いが」だったり「えが」だったりするのですが、
やはり頭の「い」や「え」は小さく発音するのです。
72 「ぶっとばす」
これはNo21で紹介した「なげでおげ」と同意語で<放っておく>という意味ですが、「なげでおぐ」より
強い感じになります。ですから、「そたらにごんぼほるわらすぁぶっとばしておげ」
<そんなに駄々をこねる子供は放っておきなさい>と訳せるわけです。
しかし、「ぶっとばすておげ」のところに「ぶなげでおげ」が入っても問題ありません。
71 「やだら」<あまりにも>
単語だけを訳すと上記のようになりますが、熟語にすると訳し方が変わってきます。
例えば「やだらどゆぶい」<ずいぶん煙い> 「やだらにはえ」<凄く速い>
「やだらどさぶい」<あまりにも寒い> 「やだらげだ」<あまりにもひどい>
等と使用しますが、<やみくもに>と言うような意味も持っています。
「やだらにかます」<やみくもにかき混ぜる>などと使用するわけですが、
早い話、<あまりにも><ずいぶん><すごく><やみくもに>と言う単語がくるところに
「やだら」を入れるとだいたい南部弁らしくなるのですが、変形型として、
「それって "やだら" でねど」<それってあんまりじゃない?>という使い方があります。