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南部弁講座

その3

はじめに。
  このコーナーでは、基本的に「」で囲んだものを原語<>で囲んだものを
  翻訳語として扱っており、赤字は難しい言葉、(全部難しいのですが)
  青字は特に難しい言葉を表しています。
その3で紹介している南部弁
 なげる   おたがいさま   ぼんず   〜ばり   つがる 
あめる こまい よさる おべる


30 「おべる」                       2002/9/6

  「がんどおべでらど?宇多田ヒカルが結婚したの」

  <君たちは知っていますか?宇多田ヒカルが結婚したの>

  今日のワイドショーで騒いでいましたね。

  と言うことで、「おべる」 正確には<覚える>と言う意味なのですが、

  <知っている>というような意味でも使います。

  実際に活用法があり、「おべる」<覚える>  「おべろ」<覚えろ>

  「おべだ」<覚えた> 「おべでろ」<覚えてろ> 「おべどげ」<覚えておけ」

  「おべだど」<覚えたか(知っているか)>というようになります。

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29 「すまっこよさる」                  2002/8/14

   町内会の寄り合いで、思っていたより参加者が多く、座る場所が無くなってきたとき

   司会進行の係りが「う、わりいどもよ、混んできたへんで、すまっこさよさってけろじゃ
   <みなさん、すみませんが、混んできたので奥の方へ寄って下さい>

   これを聞いたあるオヤジ「まっとよされってらもじょれもじょれ
   <もっと寄れってさ、詰めろ詰めろ>

   ということで<隅に寄る>です。

   しかし、この文でも判ると思いますが、状況により、<隅>だったり<奥>だったりします、

   又「よさる」は<寄る>が本当の使い方なのですが、席を詰める場合の「もじょる」に換えて

   使う場合もあります。

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28 「こまい」                           2002/8/9

   <細かい>という意味なのですが、これを人に当てはめると

   ”些細なことにも口うるさい”奴のことを指す言葉になります。

   例

   先日新しい上司が東京から赴任してきました。

   我々は仕事の関係上ある程度上司の人物像を把握しておく必要があるので

   上司と初めて接触した人間から情報収集を試みる訳ですが、

   私 「どんで」<どうなんだい>

   同僚「こめ」<細かい奴だ>

   と言うことでアクセントは「」に来ます、

   ですから「こめ」の場合も「」にアクセントが来ます。

   そしてこれがあまりにもひどい場合は

   「っめ〜!」になります。

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27 「あ」の話                             2002/8/1

   南部弁の所々に見え隠れする「」これは<○○は>や<○○が>と言うような意味合いで

   ”格助や接助あるいは副助 ”に当たる言葉なのです。(辞典で調べてください)

   したがって<君たち>は「んがんど」で<君たちは>は「んがんどあ」となり

   <箱>は「はご」で<箱が>は「はごあ」となります。

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26 <腐る>は「あめる」、<黴びる>は「かんぷける」    2002/7/6

   上野駅のキオスクでの会話

   客 「この饅頭あめでねど」<この饅頭腐っていませんか?>

   店員<これは”飴 ”ではありません ”饅頭 ”です>

   客 「?」「したら、この饅頭かんぷけでねど」<それなら、この饅頭黴びていませんか?>

   店員<これは ”かぶ ”ではありません ”饅頭 ”です>

   客 「いらねじゃ」<いりません>

   昔友人から聞かされた話です。

   お店で<この饅頭腐っていませんか?>なんて聞く人はいないと思いますが

   そこは「つぼけ」<馬鹿>な「じゃいごたろ」<田舎者>

   たぶん東京の人が、いきなり南部弁で「この饅頭あめでねど」と言われれば絶対判らないと思います。

   その中で唯一聞き取れたのが ”あめ ”と ”かぶ ”だったんでしょう。

   ですからこういう会話になったのだと思うのですが「ほんとにがよー」<ほんとかよー>
   
   まあ、笑い話の一つと言うことで。

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25 が津軽衆わつがる      2002/5/24

   南部地方では<違う>を「つがる」と言います。

   ですから「つがるべな」は<違うだろうが>

   「つがるなあ」は<違うなー>と言うように訳されるわけです。

   そこで表題の「が津軽衆わつがる」は<貴方は津軽衆、私は違う>となる訳です

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24 〜ばり                    2002/5/10
   <〜ばかり>という意味で「遊んで ”ばり ”いねでかへげぇ

   <遊んでばかりいないで仕事をしなさい>というように使います。

   他には「にぐ ”ばり ”かねでやさいもけ

   <肉ばかり食べないで野菜も食べなさい>

   また、「もよったし、たなぐのぁ、たなったし、あどぁいぐ ”ばり ”でぇ

   <服装、ヨシ 携行品、ヨシ あとは出発するだけだ>というように

   <〜だけ>という使い方もします。

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23 お寺の「ぼんず」、少年も「ぼんず」      2002/4/30
   
   和尚さんのことを坊主と言いますが、それが訛って「ぼんず

   少年あるいは子供のことも坊主と言い、これも訛って「ぼんず」。

   同じ「ぼんず」ですが「コラッぼんずっ」<少年を叱るときに本文の前に付けます>や

   「どごのぼんずで」<どこの子供だ>などと使いますが、

   和尚さんに面と向かって「ぼんず」とは言いません。

   和尚さんが対象になる場合は「あそごのぼんずあめがげかぐってらど

   <あそこの和尚さんに妾がいるんだって>

   「まだッ、えれえぼんずのくせにが」<うそ?偉い僧侶のくせに?>

   判りましたね、”陰口”なのです。

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22 お互い様          200/4/26

   ある日、総務課の先輩達がなにやら原稿の読み合わせを行っていた。

   先輩1「○○だから、あーでもないこーでもない」(原稿を読んでいます)

   先輩2「ん」「うん」(原文を確認しています)

   先輩1「そーすると、目が”つらつら”する」
   (原文は”そうすると目がチラチラする”です)

   先輩2「ん?まじろ、今”つらつら”ってへったべ?
   <ん?待て、今、”つらつら”と言っただろう?>

   先輩1「んだ、”つらつら”だ」<そうだ、”つらつらだ”>

   先輩2「”つらつらってかいでらが?

   先輩1「んだあつらつらだな」<そうだ ”つらつら ”だな>

   先輩2「”ちらちら”って、かいでねが?」<”ちらちら”と書いてないか?>

   先輩1「だすけ ”つらつらだべ?」<だから”つらつら”だろ?>

   先輩2「があ、なまってらべな!」<お前、訛ってるだろうが!>

   私(心の中で)「んがもなまってらべな」<貴方も訛っていますよ>

   と言うわけで、南部弁の ”た”行も、た・ち・つ・て・と、ではなく、

   た・つ・つ・て・と、な訳です。

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21 ボールを投げろ。ゴミを「なげろ」        200/4/12

   投げる物によって行動が違うのです、もちろんボールは額面通り、

   しかしゴミは”捨てる”のです。

   「ほらぁおんじぁ、はんでぇのうえとりけでおげじゃ
   <おい、弟よ、テーブルの上を片づけておきなさい>

   ふつう標準語では”おい弟よ”とは言いませんね、

   しかし標準語にするとこうなってしまうのです。

   「あんちゃぁこのごみどやへばいいべ
  <お兄さん、このゴミどうすればいいの>

   「なげでこぉ」<捨ててきなさい>

   「へばこのボールは?」<じゃあこのボールは?>

   「なげでよごせ」<こっちに投げて>

   と言うわけで、南部でゴミは「なげる」<捨てる>なのです。

   そしてこれに類似した
   「なげでおぐ」<放っておく>と言うのもあり、こちらは

   「とっちゃぁきなっからいぬっこぁけってこねぇじゃぁ
   <お父さん、昨日から家の犬が帰ってこないんだけど>

   「なげでおげ、さがりすぎればけってくるぁ
   <放っておけ、発情期が終われば帰ってくるさ>

   この「なげでおぐ」状況によっては、

   「ぶなげでおげ」とも使い

   この場合は、完全に突き放してしまうようなニュアンスになります。

   ですから、「ぶなげろ」は
   <捨ててしまえ!!>と、いうように強い口調になります

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